ボートの選び方・購入方法   
平成20年7月6日作成
平成21年11月14日更新

どんなボートがいいのか?

 よくボート選びやボートの買い方についての質問を受けますので私の考えをまとめてみました。釣りのホームページですのでボートの使用用途は基本的に釣りを中心に考えています。

どこから出航するのか?(砂浜、漁港、マリーナ、カートップ、トレーラブル、クレーン)

 ボートを購入する上で一番問題となるのが保管場所と出航場所です。特に首都圏ではここが一番重要な事で実際には出航場所がなかなか無いのが実情です。本当は出航場所はたくさんあるのですが安くボートを出せる場所が無いという言い方の方が正しいかもしれません。ちゃんとそれなりのお金を出せばボートを出すところは意外にたくさんあるのですが少しでも安く、コストを掛けたく無いと言うのが私も含めて皆さんの本音だと思います。

 カートップボートやトレーラブルボートのホームページやブログは山ほどありますが、私のようなマリーナ利用者以外で出航場所が書かれているのは皆無です。なぜならいろいろなところから出せるのがメリットと言いながらマリーナやフィッシャリーナ等を除いてほとんどが違法だったり黙認だったりするからです。いくら釣果自慢をしても違法な出航は所詮アウトサイダーと言うところでしょうか。また自分はボートを出したいけど他人に来てもらっては困る、出航場所を公開するといろんな人が押しかけてマナーの問題やトラブルが発生すると言う心理が働くからだと思います。それも事実では有りますがやはり出航場所が公開できないのはその遊び方自体に問題があると考えるべきだと思います。自分たちだけはマナーを守っているというのは個人の思い込みや思い上がりの場合も多く、カートップやトレーラブル等の可搬型ボートは集まるだけでも嫌がられることもあって地元からは歓迎されない事もあることを知っておくべきです。

 関東近郊ではトレーラブルは難しいと思った方が良いかもしれません。ボートメーカーにどこでも出航できると言われて買っては見たものの実際には出航出来なかった、又はどこからボートを出せばよいでしょうという相談が増えています。買ってしまってからではもう遅いです。出航できると言われているところも実際には風向きや波によってとても危険な河口から出航しなくてはいけない場所だったり、干潮時には、遠浅になって安全に出航できなかったり、公認ではないのでこそこそと出さなくてはいけなかったりといろいろと制約が多い事が後でわかってトラブルになっています。

 例えば相模川河口などは天気の良い波の穏やかな日でも南風が吹くと河口が荒れて出航できない事が多いです。遠くからボートを牽引して海まで行っても3回のうち1回は出航できない事があったり、海にやっと出たものの午後から風向きが変わる事が多く、河口が荒れて帰港できなくなったりとトラブルが多いです。相模川河口では私も2年間にプロの遊漁船の転覆事故、仲間のボートの沈没、ジェットスキー等の死亡事故を見てきました。日本で一番難しく危険な河口だと思います。河口の三角波は20馬力程度の小船では自殺行為と言わざるを得ません。50馬力程度でもブローチングで舵が効かなくなり本当に危険です。また干潮時には相模川は水深が50cmくらいになることも多く、深いところを選んで走らないとすぐプロペラを川底に当てて破損してしまいます。

 もちろん遠くの他県まで走ればトレーラブルでも出せる場所は多少はありますが、遠くまで走ることはガソリン代も含めてかなりのコスト高になり、交通事故のリスクも高くなります。また他府県まで押しかけていって砂浜で酒盛りをして大声で騒ぎ近所の住民から警察に通報されたり、トレーラーの飲酒運転、ボートの飲酒操船など、マナーを守らない事からスロープや漁港がどんどん使用禁止や閉鎖となっています。可搬型のボート乗り達はそこが閉鎖されてもまた次の出航場所を求めてジプシーのようにさまよい、押しかける為、あちこちで出航場所の閉鎖が続いています。つい先日も千葉のある漁港が閉鎖となりました。直接的な原因はボート乗りのマナーではなかったのですが、それでも日の出前の無灯火違法出航や荒天時の出航など、マナーがひどくていずれはその港のスロープは閉鎖になると地元の人からは言われていました。

 ガソリン代や高速代、さらにはトレーラーの駐車場代を計算してみてください。首都圏で遠くまで行くならほとんどのケースがもっと近くのマリーナに保管したほうが安く、しかも安全にボートを楽しめると思います。この安全というのがとても重要です。遠くまでトレーラーを牽引しながら走るにはそれなりの交通事故などの危険が伴います。朝早く起きて帰りに居眠り運転で事故を起こしたりという事も実際に発生しています。また私は牽引用の大きな4WD車から小さな車に買い換えましたがガソリン代の差額だけでボートのローンが組めそうです。小さな車はガソリン代以外に税金、車検代、消耗品等の維持費も安く、全てのコストが安くなったので今はマリーナ置きにしています。住んでいる場所、駐車場の料金、いろいろな検討項目がありますので、一概にどの保管方法、運搬方法が良いとは言えません。まずはご自分の環境と予算を考え直してみてはいかがでしょうか。

 ちなみにあちこちの港の岸壁から勝手にクレーンでボートを下ろしてトラブルとなりボートの持ち込みが禁止になった漁港もありますのでカートップボートやトレーラブルボートをクレーンで下ろす場合は所有者(そこで仕事をされている漁師さん達のことではありません。港の土地を所有する、またはその海水面の権利を所有する都道府県等の正式な管理者の事で通常では都道府県知事になります。)の正式な許可を得てからクレーンを使用するように心掛けて下さい。漁師さんに使って良いと言われたなんて言ってると知らないうちに法律を犯していることがあるので要注意です!大丈夫!等と言うボート販売店等の甘い言葉に惑わされないようにして欲しいと思います。将来にこの楽しいボート遊びを残す為にもしっかりと胸の張れる遊び方をしていきましょう。

 最近では一部の漁港が正式に開放されています。都道府県知事の許可を得て使用料を払って漁港のスロープを使わせてもらうことが可能なところが増えてきました。とても喜ばしいことですが、まだまだ勝手にボートを下ろして、逆に閉鎖になっている漁港も多いので気をつけましょう。