ボートの選び方・購入方法   
平成20年7月6日作成
平成21年11月14日更新

ボートの材質の違い(ゴムボート、FRPボート)

ゴムボート(インフレータブルボート)

 インフレータブルの最大のメリットは乗用車のトランクにも積み込みが出来る事です。最近は凝った艤装の方が増えましたが、もっとシンプルに楽しんでも良いのかもしれません。デメリットは膨らませるのに時間が掛かるのと、床板の組み立てがとても面倒でした。私が一番最初に買ったボートはアキレスCR295にトーハツ3.5ps(後にスズキ5ps)の組み合わせでした。インフレータブル(空気で膨らませるの意)ボートは、穴さえ開かなければ不沈でとても安全です。これは海上保安庁のレスキューや海上自衛隊でも使用されているので明らかです。しかし、風に弱く、丸いチューブの為に、船内に波が入る事(特に向かい風の時の航行は最悪です。)と、予想以上にチューブが大きく、船内が狭いのがウィークポイントです。しかし穴が開くことはほとんどなく、穴が開いてもアキレスでは修理について長期間保証してくれていました。インフレータブルは船内が全て水浸しになっても絶対に沈まない安心感があります。移動は当時はエスクードの屋根上のキャリアにローラーを取り付け船用に改造して使用していました。ただ海で膨らませるのも以外に時間がかかり、特に床板の組立が大変なので私は床板を組み込んだまま物置に保管して出航する日に空気を電動ポンプで充填して車に積んでいきました。それでも海へ着いてからエンジンを取り付け、道具一式を積み込むのは、やはり大変です。トレーラブルのいいところは全ての釣り道具を積んでおいて、そのまま海へザブンと入るだけです。今後はインフレータブルボートをトレーラーで運ぶのが、トレンドになるような気がします。

FRPボート(分割式FRPボート、一体型FRPボート)

 分割式FRPボートの最大のメリットは車の中に積み込める事です。またピックアップトラックの荷台に積み込むなんていうのも分割式なら可能です。トレーラーが不要ですのでコストメリットが十分あります。デメリットは組み立てが面倒なのとバルクヘッドと呼ばれる仕切り板が船内にあるので、歩くのには邪魔ですが、逆に荷物が移動しない、ずれないというメリットにもなっています。一つずつが独立した小さな桶になっているので意外に強度が高いです。一番のデメリットは構造上不沈構造に出来ないものも多く、この分割式ボートで亡くなった方が数名います。いずれにしても重量面から発泡体注入というような2重構造には出来ないようで安全性については疑問を感じます。

 私が購入したのはアカシの分割式ボートでした。これは重かったのですが良く出来ていました。船幅はなんと1600mmもあって、その辺のカートップボートや小さなトレーラブルボート顔負けの静止安定性でした。トレーラブルなら割高な分割ボートを買う必要は無いのでは?という疑問があると思います。実際にはその通りで、最初は車の中に積み込むつもりで分割型のボートを購入しました。ところが砂浜へ着いてからボートを組み立てるのが予想以上に面倒で時間が掛かりました。ざらざらした砂にまみれてあちこちをビスで締め上げていくのは結構大変な作業です。分割式のボートにはほとんどイケスが装備されておらず、不満もありますが、北海道のような離島?では一体型のボートを購入するときの運賃は馬鹿になりません。小さな一体型FRPボートでも2台1セットで20万円くらい(1台10万円)はかかるのです。このアカシの分割ボートは宅急便で送られてきました。もちろん送料はメーカー持ちです。そういう意味では分割式のメリットもあります。特に地方の方がボートを買う時には運賃がいくらになるのかきちんと確認しておかないと後で痛い出費となります。そうそう分割式の為に船内を洗った水を抜くドレンボルトが無く、洗った水を抜くのにボートをひっくり返すのが一番大変だったかもしれません。

 一体型FRPボートの最大のメリットは組み立てたり膨らませる手間がいらないことです。一体式ですので組み立て不良でボートが壊れるとか、海上でトラブルが発生するという事が無いので安心できます。ほとんどにドレンプラグがあって船内を洗っても簡単に水を抜く事が出来ます。トレーラブル専用ボートでは左右にスカッパーがあるのでざぶざぶ船内を洗ってもどんどん水が抜けていきます。またイケスも装備されているのが多く、スパンカーが効く漁船タイプのボートもあります。トレーラブルならスパンカーの他にもオートパイロットという選択肢もあります。

 一体型FRPボートのデメリットは車内に積み込めないので屋根に積むか、トレーラーしか移動手段がありません。大きなトラックで運ぶという手段もありますが毎回トラックを借りるのも大変です。さらにサイズ、特に船幅が車のサイズによって決められてしまうことです。車幅を越えるボートを屋根に積めないのは当然ですが、その為に軽ナンバーの車に積めるように1400mm前後の船幅が多いようです。軽トレーラーに積み込む場合も同様ですが、これは牽引車が普通車であれば船幅も同サイズまでOKです。また軽自動車の車幅を超えるボートを軽自動車でカートップするのは当然違法です。毎回警察署に届出をするという方法もありますが、常用する為ではありません。

 最近はFRPボートの左右にインフレータブルのチューブを装備するという、FRPボートのメリット(イケスを装備して、波に強く滑走が出来る)と、インフレータブルボートのメリット(絶対に沈まないという安全性と安定性)を併せ持つボートが出てきました。ボートとしてのデザインはまだまだこれからですが面白い発想です。安全性と機能性を考えると面白い選択です。