ボートの選び方・購入方法   
平成20年7月6日作成
平成21年11月14日更新

どんなボートがいいのか?

 よくボート選びやボートの買い方についての質問を受けますので私の考えをまとめてみました。釣りのホームページですのでボートの使用用途は基本的に釣りを中心に考えています。

どこから出航するのか?(砂浜、漁港、マリーナ、カートップ、トレーラブル、クレーン)

 ボートを購入する上で一番問題となるのが保管場所と出航場所です。特に首都圏ではここが一番重要な事で実際には出航場所がなかなか無いのが実情です。本当は出航場所はたくさんあるのですが安くボートを出せる場所が無いという言い方の方が正しいかもしれません。ちゃんとそれなりのお金を出せばボートを出すところは意外にたくさんあるのですが少しでも安く、コストを掛けたく無いと言うのが私も含めて皆さんの本音だと思います。

 カートップボートやトレーラブルボートのホームページやブログは山ほどありますが、私のようなマリーナ利用者以外で出航場所が書かれているのは皆無です。なぜならいろいろなところから出せるのがメリットと言いながらマリーナやフィッシャリーナ等を除いてほとんどが違法だったり黙認だったりするからです。いくら釣果自慢をしても違法な出航は所詮アウトサイダーと言うところでしょうか。また自分はボートを出したいけど他人に来てもらっては困る、出航場所を公開するといろんな人が押しかけてマナーの問題やトラブルが発生すると言う心理が働くからだと思います。それも事実では有りますがやはり出航場所が公開できないのはその遊び方自体に問題があると考えるべきだと思います。自分たちだけはマナーを守っているというのは個人の思い込みや思い上がりの場合も多く、カートップやトレーラブル等の可搬型ボートは集まるだけでも嫌がられることもあって地元からは歓迎されない事もあることを知っておくべきです。

 関東近郊ではトレーラブルは難しいと思った方が良いかもしれません。ボートメーカーにどこでも出航できると言われて買っては見たものの実際には出航出来なかった、又はどこからボートを出せばよいでしょうという相談が増えています。買ってしまってからではもう遅いです。出航できると言われているところも実際には風向きや波によってとても危険な河口から出航しなくてはいけない場所だったり、干潮時には、遠浅になって安全に出航できなかったり、公認ではないのでこそこそと出さなくてはいけなかったりといろいろと制約が多い事が後でわかってトラブルになっています。

 例えば相模川河口などは天気の良い波の穏やかな日でも南風が吹くと河口が荒れて出航できない事が多いです。遠くからボートを牽引して海まで行っても3回のうち1回は出航できない事があったり、海にやっと出たものの午後から風向きが変わる事が多く、河口が荒れて帰港できなくなったりとトラブルが多いです。相模川河口では私も2年間にプロの遊漁船の転覆事故、仲間のボートの沈没、ジェットスキー等の死亡事故を見てきました。日本で一番難しく危険な河口だと思います。河口の三角波は20馬力程度の小船では自殺行為と言わざるを得ません。50馬力程度でもブローチングで舵が効かなくなり本当に危険です。また干潮時には相模川は水深が50cmくらいになることも多く、深いところを選んで走らないとすぐプロペラを川底に当てて破損してしまいます。

 もちろん遠くの他県まで走ればトレーラブルでも出せる場所は多少はありますが、遠くまで走ることはガソリン代も含めてかなりのコスト高になり、交通事故のリスクも高くなります。また他府県まで押しかけていって砂浜で酒盛りをして大声で騒ぎ近所の住民から警察に通報されたり、トレーラーの飲酒運転、ボートの飲酒操船など、マナーを守らない事からスロープや漁港がどんどん使用禁止や閉鎖となっています。可搬型のボート乗り達はそこが閉鎖されてもまた次の出航場所を求めてジプシーのようにさまよい、押しかける為、あちこちで出航場所の閉鎖が続いています。つい先日も千葉のある漁港が閉鎖となりました。直接的な原因はボート乗りのマナーではなかったのですが、それでも日の出前の無灯火違法出航や荒天時の出航など、マナーがひどくていずれはその港のスロープは閉鎖になると地元の人からは言われていました。

 ガソリン代や高速代、さらにはトレーラーの駐車場代を計算してみてください。首都圏で遠くまで行くならほとんどのケースがもっと近くのマリーナに保管したほうが安く、しかも安全にボートを楽しめると思います。この安全というのがとても重要です。遠くまでトレーラーを牽引しながら走るにはそれなりの交通事故などの危険が伴います。朝早く起きて帰りに居眠り運転で事故を起こしたりという事も実際に発生しています。また私は牽引用の大きな4WD車から小さな車に買い換えましたがガソリン代の差額だけでボートのローンが組めそうです。小さな車はガソリン代以外に税金、車検代、消耗品等の維持費も安く、全てのコストが安くなったので今はマリーナ置きにしています。住んでいる場所、駐車場の料金、いろいろな検討項目がありますので、一概にどの保管方法、運搬方法が良いとは言えません。まずはご自分の環境と予算を考え直してみてはいかがでしょうか。

 ちなみにあちこちの港の岸壁から勝手にクレーンでボートを下ろしてトラブルとなりボートの持ち込みが禁止になった漁港もありますのでカートップボートやトレーラブルボートをクレーンで下ろす場合は所有者(そこで仕事をされている漁師さん達のことではありません。港の土地を所有する、またはその海水面の権利を所有する都道府県等の正式な管理者の事で通常では都道府県知事になります。)の正式な許可を得てからクレーンを使用するように心掛けて下さい。漁師さんに使って良いと言われたなんて言ってると知らないうちに法律を犯していることがあるので要注意です!大丈夫!等と言うボート販売店等の甘い言葉に惑わされないようにして欲しいと思います。将来にこの楽しいボート遊びを残す為にもしっかりと胸の張れる遊び方をしていきましょう。

 最近では一部の漁港が正式に開放されています。都道府県知事の許可を得て使用料を払って漁港のスロープを使わせてもらうことが可能なところが増えてきました。とても喜ばしいことですが、まだまだ勝手にボートを下ろして、逆に閉鎖になっている漁港も多いので気をつけましょう。

        

ボートの運搬方法の違い(カートップボート、トレーラブルボート)

カートップボートのメリット・デメリット

 車の屋根の上にボートを載せて出航場所まで移動するのをカートップボートと言います。カートップボートもトレーラブルボートもどちらも可搬型ボートですので、船検登録の内容にもよりますが、基本的には日本中どこでもボートに乗れます。天気予報を見て神奈川をやめて千葉とか、太平洋じゃなくて日本海とかいろいろな場所でボートを浮かべることが可能です。

 カートップボートのメリットは保管スペースが小さくてよく、維持費が安い事です。保管は物置程度の大きさで十分ですし、ずっと車の屋根の上に載せたまま保管しているというツワモノもいます。トレーラーを置く為の駐車場やトレーラーの車検、保険等の諸費用も不要です。屋根に積むキャリアがあればOKです。とにかく安く手軽にボートを楽しみたいという方には最適です。

 またこちらの方が本当のメリットかもしれませんがトレーラブルボートに比べて気軽に出航できる事です。トレーラーは基本的にスロープが必要です。砂浜からも出せなくは無いですが、首都圏では砂浜への車の乗り入れはほとんど出来ません。また出来たとしても違法黙認状態で胸を張って遊べないのが実情です。それと比較するとカートップボートはまだまだ気軽にボートを出すフィールドが残っています。残っていますと書いたのは残念ながら漁港のスロープも含めて出航場所が減少しています。マナーやルールをわきまえない危険な出航で実際に死亡事故も発生しており、その結果、ボートの持込が禁止になるケースがかなり増えています。今はボートを出せても明日閉鎖になる所があるかもしれません。ただトレーラブルボートと比較すると今のところは出航場所も多く、気軽にボートで遊べるので首都圏で格安にボートに乗る方法としては悪くないかもしれません。

 カートップボートの船体はインフレータブルとFRPが多いようですが、特にFRP製はトレーラブルボートと比べて軽量化をする為にかなりFRPの積層が薄く、カートップボートをトレーラーで船外機をつけたまま運搬し、トランサムを割った、壊した、ひびが入ったという例がとても多いので注意してください。トレーラブルボートと並べてみるとトランサムの厚みやステンレス板での補強方法を見ると一目瞭然です。カートップ専用ボートとトレーラブル専用ボートは全く作り方が違います。軽く作らなくてはいけないカートップボートの宿命でもありますが、船体もそれだけ弱いと思った方が良いと思います。FRPの船底を手で叩くとコンコンという音がするかゴンゴンと低い音がするかでハルの強さもある程度推定できます。これは20フィートクラスでも船底が薄いものがあり、大きなボートでもトレーラブルでハルを割るケースが実際にあるので気をつけなくてはいけません。

 カートップボートのエンジンは通常なら10馬力までです。それ以上も不可能では有りませんが、毎回エンジンをセットするには重すぎて嫌になります。実用的なのは最大でも9.8馬力か8馬力と言うところですね。航続距離と安全性を考えるとこれがカートップの限界ですから注意しましょう。

 カートップボートのデメリットはやはり安全性でしょうか。実際にカートップボートの死亡事故も多く、楽しむはずのボートで事故があっては絶対にいけません。つい先日も仲間のトレーラブルボートが完全に沈没したカートップボートの乗員を救助して海上保安庁から表彰されましたが、ボートの実力をしっかり知るべきです。所詮ミニボートなのですが、釣果ばかりを追い求めるのはどうかと思います。小さいボートと言う負い目から被害妄想的な意識があって、大きなボートよりもたくさん釣ってやると意地になっているケースが見受けられます。また車の屋根に積む為にコンソールやハンドルが付いていません。よって立ち操船で海況の全体像を判断する事や波にあわせて体重を前後に移動しながら乗り越えるなどは出来ませんし、モータウェルが無いので後からの追い波には一番弱いボートだと思った方が良いです。構造的にコンソールの付いたハンドル仕様のボートにはできないので、座席のすぐ後に船外機が有って手で船外機本体の向きを変えるという仕組みの為に船外機側からの波の打ち込みは致命傷になりやすいです。実際に三角波が後部から大量に船内に入り込んで沈没しているケースが多いように感じます。また軽量化の為に単層のFRPのボートがほとんどです。2重底構造で左右に自動排水用のスカッパーがあるのが一般的なトレーラブルボートは重いですがやはり安全ですし、そこに発泡体を入れるなどの不沈構造のボートが増えています。ちなみにカートップボートの自動排水は簡易型で突然の波の打ち込みを自動的に排水できるだけの排水量は確保できません。排水用の穴径を比較すれば一目瞭然です。

 東京湾のマリーナでは基本的にミニボートは安全性が低いと言う事でマリーナの利用が出来ません。横浜のある施設では16フィートのカートップボートは安全上の問題で出航禁止でも13フィートのトレーラブルなら許可が出ているケースがあります。大きいボートが釣れるわけではありませんが、安全性は大きなボートから見るとかなりレベルが低いと言う事実もしっかりと理解しておくべきだと思います。

 ちなみにカートップボートメーカーの中には購入時に使い方を説明すれば、ボート生産時にちゃんとそれなりの補強をしてくれるところもあるようです。ですから見た目は同じであってもカートップ用とトレーラブル用では船体の内部の補強が違うボートがあります。素晴らしいメーカーもあるものです。ですから他人が自分と同じボートをトレーラブルしてるからといって、大丈夫だと思ってトレーラーで運んでしまうと実際には補強箇所が違っている為に、トランサムが割れたり、船外機が落ちたりすることも有るので注意が必要です。

 その他のデメリットは車の屋根に積む為に車が痛む事です。屋根がへこんでしまったり、許容荷重をオーバーしてゆがみが出たりというケースが実際にあります。また車が明らかに錆びます。もちろんきちんとボートや車を水洗い出来れば多少は良いかもしれませんが、海から上げたボートを車の屋根に積むのですから、綺麗な車はもったいないですし、すぐ錆びてボロボロになると思った方が良いかもしれません。新車や綺麗な車ならカートップはやめた方が良いです。

 さらに車の積載状態の注意事項ですがベテランと呼ばれる人も車からの前後左右の飛び出しが法律で決められた以上に飛び出しているケースがあります。前後の飛び出しは車の全長の10%までなので340cmの軽自動車であれば374cmまでです。ところが実際の車は必ず余裕を持って少し小さく作られており規格一杯の340cmジャストと言う軽自動車は無いので374cmは法的にカートップ出来ないケースも多いので注意が必要です。

 また特に注意して欲しいのは車幅からのボートの左右の飛び出しで本来は1mmでもNGです。厳密には許容範囲はあるのですが最初からそれを狙っての悪質な飛び出しは違法です。これは車幅に含まれないドアミラーから出てはいけないと言う話ではなく、あくまでも車検証に記載された車幅を超えるボートは積んではいけないと言う事です。軽自動車にその車幅以上の大きなボートを積んだり、最近はカートップボートの左右に車輪を取り付けているケースが多く、そのタイヤが車幅を超えた状態で積載されているカートッパーを多数見かけます。またそれ以前にカートップボートを載せる為のルーフキャリアが車幅より飛び出ているケースが多いです。自動車の規格幅と同じ幅のボートが結構多く、キャリアが車幅を飛び出てしまっています。あきらかに違法ですので知らない間に違反をしている事の無いように気を遣いたいものです。一時的に許可をもらうことも可能ですが日常的に使う確信犯は認められません。陸上でも安全に楽しみたいものですね。

 カートップボートで目立つように旗を高く掲げている方が増えました。天気の良い日なら大型船からも見やすくなります。旗よりも目立つのがスパンカーです。高さはありませんが大きいのでヨットの様によく見えます。しかし日の出直後や日の入り前、また霧が出ると全く見えなくなりますので出来れば旗と一緒に夜間航行の許可を取り、灯火類を装備しておけば良いと思います。天候が急変して霧が出ることもあるので欲しい装備です。気になるのは釣果を求めるばかりに朝早く、日の出前に違法に出航するカートッパーが増えています。営業時間の決められているマリーナでは考えられませんが、夜間航行の許可も無く、灯火類も一切装備しないボートが朝暗いうちに、砂浜や漁港のスロープから出て行く光景を見ることが増えたと思います。マナーの前に法律を守りたいですね。安全第一ですから。

 またやはり屋根にボートを上げ下ろしするのは重いです。腰を痛めた人を何人も知っていますし、現在カートップしていても腰が悪い人が知り合いに多いです。

 ただいずれにしてもカートップボートはお手軽で、特に首都圏で安くボートを楽しみたい人には最適なボートの楽しみ方だと思います。大きなボートで遠くまで行けば釣れるわけでもないので釣果が一番いいのもカートップかもしれません。

         

トレーラブルボートのメリット・デメリット

 トレーラブルといってもボートを屋根に積むか、トレーラーに積むかで呼び方が違うだけです。同じボートを屋根に積めばカートップ、トレーラーに積めばトレーラブルです。ただトレーラブル専用に作られたボートは全く別物です。

 カートップボートのところに書いたとおりトレーラブルボートはコンソール付きの一回り大きなボートから26フィートくらいまでがトレーラブルボートの範疇ですが、それ以上の大きなボートも実際にはトレーラブルしている人もいます。17フィートくらいまでが牽引免許不要のサイズです。

 またエンジンは大きな物が積めます。船体も26フィートですとエンジンも200馬力程度は楽勝でエンジン2機掛けのモンスターもトレーラブルなら可能で、さらに補機の積載も出来ます。

 メリットとしてはカートップより大きな船体、大きなエンジンのボートが選べるのでより安全です。トレーラブル専用ボートはボートの左右下部両方にサイドスカッパーが付いた本格的な自動排水艇が当たり前ですので、突然の波被りにも安心できます。またモータウェルがあって、いきなり船内に後から波が打ち込むという事もなく、カートップボートに比べて安全性は大幅に高くなります。ハンドル付きのボートは本格的でデザインもカッコいい船が多いです。個人的には漁船(和船)のようなデザインは嫌いです。釣りをするには機能的で最適ですが、もっとカッコよく行きたいですね。ボートの使い方は釣りだけではないのですからたまには丸ハンドルを操作してクルージングもいいものです。安全性と書きましたが自動排水のサイドスカッパーやモータウェルなど大きなボートに装備されているものを一通り備えているのがトレーラブル専用のボートです。

 他には全て艤装した状態、また荷物を積んだ状態でボートを運搬しますので出航場所に到着してから魚探をセットしたり、椅子を取り付けたりという手間がかかりません。ですから出航場所についてからの時間が節約出来ます。もちろん道具類や細かいものはボートに積んだままでよいので忘れ物も激減します。

 また年配の方やカートップで腰を痛めたのでトレーラブルにするという人もいました。老若男女、誰でもコツさえつかめば、ボートを車の屋根に載せる必要が無く、力が不要です。

 短距離であればイケスに魚を入れたまま生かして持ち帰ることも出来ます。自宅の水槽で海水魚を飼っている方もいました。なついてくるとかわいくて食べられなくなりそうです(笑)

 デメリットはカートップボートと比較して降ろし場所が致命的に少ないことです。カートップは砂浜から気軽に出す事も出来ますが、特にトレーラブルは首都圏では出航場所が皆無に等しいです。一部出航出来る場所もあるのですが、ほとんどが非公開だったり一部の人たちだけで楽しんでいるのが実情です。もちろんちゃんとお金を払えば出航させてもらえる場所もありますが、下記のマリーナと同様に出航時間等の制約やコストの問題であまり利用されていないようです。

 またもう一つの大きなデメリットがコストです。トレーラーという車両を所有するわけですから自家用車とは別に車検代や保険代が必要で、もちろん駐車場だって必要です。登録時に車庫証明が必要になるのも自動車と同じです。ちなみに私の自宅の近所では駐車場代が2万円で12ヶ月で24万円ですから、ボートの大きさにもよりますが駐車場、車検代、保険料を考えるとマリーナに保管する方が圧倒的に安いですね。

 さらに牽引するので牽引できる自動車に制約があります。重い4WD車が安全なのは言うまでもありません。国産車はヒッチメンバーの取り付けを認めていないのでモノコックボディの乗用車等では勝手にボディに穴をあけてヒッチメンバーを付けると車検が通らなくなりますので要注意です。またフレームが歪んだりすることもあるので信頼できる取り付け工場選ぶことが大切です。

 カートップボートに比べて本格的なボートとなるので海上での安全性は抜群に高くなるのですが、実は運搬途中の安全性は逆にかなり低くなります。私も経験が有りますがメンテナンス不足からトレーラーのハブベアリングが飛んで車輪が脱落したり、フレームが錆びて走行中に折れた人もいました。1年に1度(軽トレーラーは2年に1度)は車検があるのですが、頻繁にメンテナンスしないと次の車検まで持たずに大きなトラブルが発生する事があって危険です。もちろんカートップも走行中にボートが脱落するのを見たことがあるので、ある意味トレーラブルと同様に走行中も注意が必要ですが、トレーラブルは車2台分の注意とメンテナンスが必要です。

 またトレーラーとボートは幅や長さの問題でほとんどの一般的な駐車場は使わせてもらえません。ボートは意外に大きくトレーラーに積んだ状態で5ナンバー車と同じサイズに収まるのは軽ナンバーのトレーラー位です。車検証ではサイズ的に収まっても、実際にボートを載せると後ろ側に船外機が飛び出ていてかなりスペースをとります。それにボートをトレーラーに積んだ状態では高さも思ったより高いのでシャッター付きの車庫や屋根付き駐車場は注意が必要です。札幌に住んでいた時はトレーラーがベストだと思っていましたが、横浜ではカートップと比較して費用が高いのはもちろんですが、マリーナ保管と比べてもコストが意外に高くなります。

 また軽トレーラーでは積み込めるボートにもかなりの制約があります。勝手に延長トングや延長カプラーと呼ばれる部品を取り付けてフレームを伸ばしたものは警察から違法と言う見解が出ていますので注意してください。ボートを支えるバンク板も後ろ側が車検証の全長よりも飛び出ているケースもありました。サイドローラーも車検証の車幅変更登録が必要になり取締りの対象です。まずは車検証記載の全長全幅と実際のトレーラの全長全幅をきちんと把握しておく事が大切です。勝手な改造は違反となります。メーカーや販売店任せではなく、自分の身は自分で守り、また自分の免許証も自分で守りましょう。後で困るのは自分ですから多少の勉強も必要です。

 北海道や九州、その他自宅から海まで近くてトレーラーの保管場所にそれほど費用が掛からないなら、やはりトレーラブルが一番お勧めです。トレーラーでボートを降ろせる砂浜や漁港のスロープがあるならトレーラブルは最適です。本格的なボートを本格的な4WD車で牽引するのはカッコいいですね。今はマリーナにボートを保管していますが、駐車場やガソリン代、さらには移動時間に余裕があればトレーラブルにしたいと思っていますし、やっぱりトレーラブルが大好きです。

         

          

マリーナ保管のメリット・デメリット

 マリーナ保管とカートップ、トレーラブルとの決定的な違いは車が不要だということです。もちろん車でマリーナに通う人がほとんどですが、屋根に積んだり、トレーラーを牽引するわけではないので必要条件では無いと言うことです。不況になってくると車の所有自体がとても贅沢ですね。車の車両代、ガソリン代や、税金、車検、高速代金やさらには事故のリスクを考えると、電車やバスなどの公共機関を使うのも良いかもしれません。首都圏で車を持つくらいなら毎回タクシーに乗るほうがきっと安いと思います。ちょっと話題がそれましたが実際に電車やバスでマリーナに通っている人を何人も知っていますし、バイクなんかもうまく使えば安いかもしれません。ハーレーダビッドソンでマリーナに来る夫婦がいてうらやましいと思いました。カッコイイですね。

 マリーナで私が感じる一番のメリットは堂々とボートで遊べる事です。カートップやトレーラブルはどうしても他の人に出航場所を知られたく無いと言う心理が働く事が多く、それは何故かと考えたら、やはり出航場所が公認では無く、黙認であることが多い事です。ブログやホームページで出航場所を公開出来ているものがどれだけあるでしょう?出航場所も公開出来ないで、こんな大物を釣りましたと言っても所詮はアウトサイダーです。だからこそ私のところに出航場所の問い合わせが多いと思うのですが、そこが一番の問題だと思っています。公開しても良い場所だけは記載していても実際には秘密の場所から出航して釣りをしているケースがとても多いように感じます。またそうしないとたくさんの人がその出航場所に殺到して、近隣住民から苦情が出たり、マナーをわきまえない人が出たり、挙句の果てに事故を起こすケースが増えるからでしょう。漁港がどんどん閉鎖されてミニボートが締め出されているのが実態ではないでしょうか。

 また本当のメリットは安全です。マリーナには必ずレスキュー艇があります。当たり前ですが必ず出航届けを出しますし、何かあればマリーナがレスキュー艇を出して救助してくれたり、関係各所に連絡してくれます。地震があったり天候が急変する時は連絡をくれたりもします。エンジンやボートの整備や修理も出来ます。いろいろな相談が出来るのが最大のメリットです。

 家族連れや友達連れならマリーナは本当にお勧めです。ボートに乗っていてもトイレも無いような砂浜ではどうするのでしょう?女性や子供は二度とボート釣りについて来ません。大勢が集まるとこのような問題がたくさん出てきます。通常マリーナにはシャワーもありますし、トイレも男女別に完備されています。もちろんバーベキュースペースだってあります。ちなみに砂浜に車で乗り込んでのバーベキューは条例で禁止されてるところが多いので注意してください。

 船体やエンジンの水洗いも水道水が使えますし、ブルーマリン城ヶ島では氷がたくさんあって自由に使えます。これは釣りキチにはうれしいサービスですよね。氷も買えば結構高いですし、自宅で作っても釣りをして帰る頃には結構溶けてしまっています。釣りの情報もいろいろ教えてもらえますし、とにかくサービス満点です。

 デメリットは何と言ってもコストですね。年会費以外に保証金が必要なマリーナがほとんどです。解約時には返金されますが初期費用がかかるのが痛いところです。また船台も必要ですし、船台のメンテナンスも必要です。船台も車検が無いのにトレーラーと同じくらい高価です。このあたりが敬遠される理由ではないでしょうか。ただトレーラブルボートやカートップボートをビジターとして受け入れしてくれるマリーナもありますのでお金はかかりますが安全に楽しむことも可能です。

 その他にマリーナ独自のルールがありますので、当たり前ですがルールが守れない人はもちろん駄目です。訳のわからないローカルルールではありません。ローカルルールも県の条例で法律で決められたものから、勝手に地元の人がローカルルールといって伝わっているのものなど様々です。マリーナのルールは常識的なものばかりですが、そもそもカートップやトレーラブルは他人に制約を受けることが少ないのでマリーナのルールは窮屈かもしれません。実際に夜間航行も装備していないのに夜明け前に出航している無法なボートを多数見てきました。このようなことはマリーナでは許されないのは当然です。

 出航時間、帰港時間に制限があるのもある意味でデメリットと言われるかもしれません。特に釣り人なら誰もが日の出直後の朝まずめを狙いたいところですが、ほとんどのマリーナが朝は8時半からというように開場時間の制約があります。以前利用していた城ヶ島マリーナは土日祝日は1時間早めて7時半からマリーナを開けてくれていました。ブルーマリン城ヶ島も同様ですが、事前に話をしておけば朝4時にでも出航させてもらえるようです。もちろん夜間航行の装備が必要なのはマリーナの規則以前に法律で決まっています。

 マリーナにもボートの保管方法が2種類あって陸上保管と海上係留保管があります。陸上保管はボートの上下架料金がかかりますが、ボートが傷みません。海上係留保管はそのまま海に出られるので一見楽なように見えますが、あっという間に船体や船外機が傷みます。毎年必ず陸揚げして船底塗装や船外機のメンテナンスが必要ですがこれがかなりのコストが掛かるのがわからないで契約してしまうケースが多いようです。大型艇に乗っているというと聞こえはいいのですが海上係留のボートはかなり痛んでいるのが多く、維持費が掛かる為に船体の価格相場は激安です。23フィート程度までは陸上保管がお勧めです。ブルーマリン城ヶ島の料金表をみると一見かなり高いのですが、横浜の有名マリーナの海上係留からの移籍艇が多いのは納得できます。全てのボートが陸置きですので本当に綺麗です。

        


ボートの材質の違い(ゴムボート、FRPボート)

ゴムボート(インフレータブルボート)

 インフレータブルの最大のメリットは乗用車のトランクにも積み込みが出来る事です。最近は凝った艤装の方が増えましたが、もっとシンプルに楽しんでも良いのかもしれません。デメリットは膨らませるのに時間が掛かるのと、床板の組み立てがとても面倒でした。私が一番最初に買ったボートはアキレスCR295にトーハツ3.5ps(後にスズキ5ps)の組み合わせでした。インフレータブル(空気で膨らませるの意)ボートは、穴さえ開かなければ不沈でとても安全です。これは海上保安庁のレスキューや海上自衛隊でも使用されているので明らかです。しかし、風に弱く、丸いチューブの為に、船内に波が入る事(特に向かい風の時の航行は最悪です。)と、予想以上にチューブが大きく、船内が狭いのがウィークポイントです。しかし穴が開くことはほとんどなく、穴が開いてもアキレスでは修理について長期間保証してくれていました。インフレータブルは船内が全て水浸しになっても絶対に沈まない安心感があります。移動は当時はエスクードの屋根上のキャリアにローラーを取り付け船用に改造して使用していました。ただ海で膨らませるのも以外に時間がかかり、特に床板の組立が大変なので私は床板を組み込んだまま物置に保管して出航する日に空気を電動ポンプで充填して車に積んでいきました。それでも海へ着いてからエンジンを取り付け、道具一式を積み込むのは、やはり大変です。トレーラブルのいいところは全ての釣り道具を積んでおいて、そのまま海へザブンと入るだけです。今後はインフレータブルボートをトレーラーで運ぶのが、トレンドになるような気がします。

FRPボート(分割式FRPボート、一体型FRPボート)

 分割式FRPボートの最大のメリットは車の中に積み込める事です。またピックアップトラックの荷台に積み込むなんていうのも分割式なら可能です。トレーラーが不要ですのでコストメリットが十分あります。デメリットは組み立てが面倒なのとバルクヘッドと呼ばれる仕切り板が船内にあるので、歩くのには邪魔ですが、逆に荷物が移動しない、ずれないというメリットにもなっています。一つずつが独立した小さな桶になっているので意外に強度が高いです。一番のデメリットは構造上不沈構造に出来ないものも多く、この分割式ボートで亡くなった方が数名います。いずれにしても重量面から発泡体注入というような2重構造には出来ないようで安全性については疑問を感じます。

 私が購入したのはアカシの分割式ボートでした。これは重かったのですが良く出来ていました。船幅はなんと1600mmもあって、その辺のカートップボートや小さなトレーラブルボート顔負けの静止安定性でした。トレーラブルなら割高な分割ボートを買う必要は無いのでは?という疑問があると思います。実際にはその通りで、最初は車の中に積み込むつもりで分割型のボートを購入しました。ところが砂浜へ着いてからボートを組み立てるのが予想以上に面倒で時間が掛かりました。ざらざらした砂にまみれてあちこちをビスで締め上げていくのは結構大変な作業です。分割式のボートにはほとんどイケスが装備されておらず、不満もありますが、北海道のような離島?では一体型のボートを購入するときの運賃は馬鹿になりません。小さな一体型FRPボートでも2台1セットで20万円くらい(1台10万円)はかかるのです。このアカシの分割ボートは宅急便で送られてきました。もちろん送料はメーカー持ちです。そういう意味では分割式のメリットもあります。特に地方の方がボートを買う時には運賃がいくらになるのかきちんと確認しておかないと後で痛い出費となります。そうそう分割式の為に船内を洗った水を抜くドレンボルトが無く、洗った水を抜くのにボートをひっくり返すのが一番大変だったかもしれません。

 一体型FRPボートの最大のメリットは組み立てたり膨らませる手間がいらないことです。一体式ですので組み立て不良でボートが壊れるとか、海上でトラブルが発生するという事が無いので安心できます。ほとんどにドレンプラグがあって船内を洗っても簡単に水を抜く事が出来ます。トレーラブル専用ボートでは左右にスカッパーがあるのでざぶざぶ船内を洗ってもどんどん水が抜けていきます。またイケスも装備されているのが多く、スパンカーが効く漁船タイプのボートもあります。トレーラブルならスパンカーの他にもオートパイロットという選択肢もあります。

 一体型FRPボートのデメリットは車内に積み込めないので屋根に積むか、トレーラーしか移動手段がありません。大きなトラックで運ぶという手段もありますが毎回トラックを借りるのも大変です。さらにサイズ、特に船幅が車のサイズによって決められてしまうことです。車幅を越えるボートを屋根に積めないのは当然ですが、その為に軽ナンバーの車に積めるように1400mm前後の船幅が多いようです。軽トレーラーに積み込む場合も同様ですが、これは牽引車が普通車であれば船幅も同サイズまでOKです。また軽自動車の車幅を超えるボートを軽自動車でカートップするのは当然違法です。毎回警察署に届出をするという方法もありますが、常用する為ではありません。

 最近はFRPボートの左右にインフレータブルのチューブを装備するという、FRPボートのメリット(イケスを装備して、波に強く滑走が出来る)と、インフレータブルボートのメリット(絶対に沈まないという安全性と安定性)を併せ持つボートが出てきました。ボートとしてのデザインはまだまだこれからですが面白い発想です。安全性と機能性を考えると面白い選択です。

        


エンジン(船外機)は何を基準に選べば良いのか?

ボートとエンジンをセットで購入する

 初心者に一番お勧めなのがボートとエンジンがセットされたものを買うことです。その組み合わせをボートメーカーで推奨しているケースが多く、一番バランスの良い組み合わせの可能性が高いと思います。ただボートを買わせる為に価格の安い中途半端に小馬力のエンジンを積んでいるモデルもありますが絶対買った後で後悔します。試乗すると速そうに感じますが実際には使えません。釣りをするときはガソリンを積み、生け簀に水を入れ、釣り仲間も乗っていると全然走りません。何人もそのような人を知っていますので必ず推奨馬力以内の最大馬力の船外機を選びましょう。ボートに慣れて来ると間違いなくパワーが物足りなくなります。船外機の乗せ替えは多額の出費となりますし、結果的にボートを買い換えたと言う人を何人も知っていますので、最初から最大パワーの船外機のモデルを選びましょう

エンジンは必ず最大パワーモデルを購入する

 以前6馬力、8馬力、9.8馬力と言うラインアップの船外機の8馬力モデルを購入して、後で9.8馬力に改造した事がありました。俗に言う8馬力から「9.8馬力改」という奴ですが、実際にはパワーは思ったほど上がりません。同じエンジンで共用部品が多く、違っているのはキャブレターくらいかと思っていましたが、実際には同じ排気量でも、シリンダーの形状から、ガスケットまで全ての部品が違っているケースが多く、キャブを載せ替えたくらいでは全くパワーが出ないのがわかりました。改造した船外機や中古の船外機は要注意です。船外機はボートの命で、これが調子が悪いと生命にかかわります。ですからボートは古くても船外機は新品を取り付けるべきだと考えています。
ボートのラインナップで9.9馬力と15馬力のモデルがある場合は迷わず15馬力を選び、30馬力と50馬力のモデルがある場合は迷わず50馬力を選ばないと必ず後で後悔します。試乗では調子が良くても艤装品をたくさん取り付けてガソリンを満タンにして、さらにエレキや予備バッテリー、そして仲間を乗せると試乗の時のようにはボートは滑走しません。高馬力モデルを選ぶことが不意の荒天に遭遇しても安心ですし結果的に安全性にもつながります。滑走も遅いアンダーパワーモデルは本当に危険ですので、エンジン出力に余裕は絶対に必要だと思います。

        


ボートをどこで買ったら良いのか?(ボートの買い方)

近所の販売店で購入する

 ボートをどこで買ったらよいかという相談も多く寄せられますが、基本的には初心者の方は近所のボート販売店をお勧めします。まず相手の顔が見えること、困ったときにすぐ相談できる事が絶対条件です。私は何度も近所の釣具屋でボートを買いました。ゴムボートなんかを並べているお店も多いので相談して見るのも良いと思います。またどこの街にもヤマハやスズキ、トーハツ等大手ボートメーカーの販売店(取扱店)が有ると思いますのでのぞいて見ることをお勧めします。特に初心者の方は大手メーカーのボートを買うべきだと思います。どうしてもカートップやトレーラブルは小さなメーカーが製造している事が多いのですが、故障した時などは地方の為に相談できない事も多く、あまりお勧めできません。特に初心者の方はネットで購入するなどは絶対にやめるべきです。修理には来てもらえないので販売店に持込が原則となります。遠方の方は注意が必要です。

マリーナで購入する

 これが一番お勧めです。使うフィールド決まっているなら、そこで購入するのが一番です。もちろん信頼できるマリーナでなくてはいけません。中古艇でもその過去の使用履歴が良くわかっていたり、そのボートやエンジンの特性を理解して販売している事が多いので安心です。もちろんトラブルが起きた時のアフターもボートの保管場所ですので安心です。船検や保険などいろいろと相談できるのも大きなメリットです。問題は信頼できるマリーナをどうやって見つけるかです。ここはそれこそホームページや知り合いの知り合いなどから情報収集するしかありません。

雑誌やインターネットを見て購入するのは要注意!

 雑誌を見て通信販売で購入したりインターネットで購入するという事も増えてきました。出来れば雑誌やインターネットで見て良いボートだと思っても、直接買わずに近所の取扱店に相談して取り寄せてもらうなどが出来れば最高です。販売店やメーカーが自宅の近くにあるなら打ち合わせをメールだけで済まさずに、必ず現地に言って直接話をして見るべきです。販売店経由の場合はもちろん手数料が掛かったりしますので割高になりますが、後で泣かない為にもすぐ相談できる、相手の顔を見て信頼できる人から買ったほうが良いと思います。ただ直接話をしても買うまでは対応が良かったけどお金を払ったら電話にも出ないと言う話も良く聞きます。やはりヤマハ等の大手メーカーが社員教育も行き届いていますし一番安心でお勧めです。

 毎年大勢の方からボート購入の件でメールで相談が来るのですが、ここのところ相談件数が急増しています。相談内容で一番多いのはお金を振り込んだら連絡が取れなくなったとか、注文した物が装備されていない、注文と違う品物が届いた、納期が契約と全然間に合わない、詐欺ではないか等々と言ってくる相談もあるのですが、私は業者ではありませんので私に相談されても残念ながら何も解決してあげられません。多少のアドバイスは可能ですが、楽しむ為に買ったボートなのにあまりにもトラブルに巻き込まれる人が増えています。本当に残念な話です。

 私は自己責任で今のボートを買って、自分ではそれなりに楽しんで乗っていますが、人それぞれの楽しみ方や考え方があるので決して自分のボートを他人に薦めたりはしません。自分で納得したボートを自分が納得できる対応の良い業者から買って欲しいものです。買ってしまってから後悔しない様、ボートや業者をよく検討してボートライフを楽しんで下さい。ボート購入時の参考にして頂ければ幸いです。