魚の釣り方

トオルのアオリイカの釣り方

 
   
アオリイカ 2010/12/23釣行記 こでやんさんの釣果
   

アオリイカ

 北海道生まれの私にとってイカと言えば函館の活イカです。ほとんどがマイカ(スルメイカ)だと思いますが、今回のアオリイカはその対極にあるようなイカです。マイカがスマートで細長く、味もほんのり甘くてコリコリ感が強く、函館では細切りにした透明なイカソーメンが有名ですが、アオリイカは丸くずんぐりしていて太っています。釣りとしては重量感も引きも抜群でびっくりしたのは食べた時の食感と味です。新鮮なイカと言えばコリコリしているイメージしかなかったのですが、このアオリイカはぐにゃっとした食感から口の中全体に濃厚な甘みが広がります。かといって癖があるわけでもなく、いくらでも食べ続けられそうなほどおいしいイカです。

 アオリイカはスミイカ(コウイカ・カミナリイカなど)と形がよく似ていることから仲間のように思われがちですが、実はヤリ・スルメ・ケンサキイカの仲間なんです。そしてそのトロ〜ンとした食感・濃厚な甘みから「イカの王様」と言われ。高級食材として珍重されています。
 ただし、大型になるほど表面が硬く、釣った当日は食感が硬く、アオリ本来の旨さは半減してしまいます。釣り上げた後、活き絞めをしたり、又は一度冷凍し、それを解凍して刺身にすると、死後硬直が和らぎ、美味しく頂けます。又、切り方にも一工夫加え、寿司ネタの様に削ぎ切りをする事で、トロ〜ンとした甘さのある部分の面積が増え、更に美味しく感じられます。


アオリイカの釣期

 アオリの釣期ですが、9月〜6月って感じです。
9月後半〜11月中旬までが「秋の数釣りシーズン」で、新子なので小型(コロッケサイズ)が多いです。
11月中旬〜1月中旬までが「初冬の中型シーズン」で、1kg前後が混ざるようになる。
1月下旬〜3月中旬頃は「冬の激渋シーズン」で、水温の安定する深場に落ちます。
4月〜5月頃は「産卵前の大型シーズン」
6月頃「産卵」で浅場で大型が狙える。

 2010年は11月が三浦半島では爆釣時期でした。1kg以上のものも出始めて12月になると数よりも大きなものが狙えます。アオリイカは冷凍したものをあとから解凍して食べてももおいしいので正月用として11月〜12月に狙うのが良さそうです。


アオリイカの釣り方

 アオリイカの釣り方には大きく分けて「縦の釣り」と「横の釣り」があります。
 縦の釣りで代表的なものは中錘を使用した「バーチカルエギング」、通称「船アオリ」とも言われ、中錘にハリスを3〜5m位、その先に餌木を付け沈め、10秒間隔でシャクリを入れる釣り方です。この釣り方は水深の深い場所を攻める時に有効です。
 横の釣りではスピニングリールを使用し、餌木をキャストして行う、通常の「エギング」があります。こちらは水深の浅い場所を広く攻める場合に有効です。

 しかし、最近話題となっている「ティップランエギング」・「スパイラルエギング」は、縦の釣りと横の釣りの良い所を融合させた新感覚の釣り方で、スピニングタックルで餌木に増し錘(アゴリグなど)をしたり、専用餌木(予めシンカーが重い)を用い、水深の深い場所も軽くキャスティングをして、広く探る事ができると言うものです。また今までの釣り方に共通している点は、餌木をフォールさせてアタリを待つのに対し、ティップラン&スパイラルエギングでは、ボトム(海底)か餌木をジギングの様にシャクリあげ(概ね海底より餌木の位置が2〜4m程上になる分)、ステイ(水平姿勢)を取り、竿先に出る微妙なアタリを視認して餌木に掛けると言う、「斜めの釣り」的な、まさに新感覚な釣り方が確立されてきました。

 アオリイカはアタリが非常に解り辛いターゲットである為、竿先の変化でアタリを視認し掛ける事が出来るので、より積極的に攻める感覚が醍醐味ですね。「シャクったら乗ってた!」と言う様な釣れちゃった感はなくなりますし、今まで感じる事が出来なかったアタリを視認出来ると言う点が画期的です。但し、このティップラン&スパイラルエギングも万能な釣り方ではなく、強風で船の流れが速い時・無風無潮流で船が流れない時などでは高度なテクニックも必要となり、難しい釣りになってしまいます。また船の流し方も変わってきます。バーチカルエギングは風に立てて流すのに対し、ティップランエギングは横流し(どてら流し)をします。釣り方が違うと船の流し方も変わってくるので、バーチカルエギングの乗合船でティップランと言うのは少し難しいのかも知れませんね。


 しかしここではバーチカルエギングでもティップランの様に竿先に極力アタリを視認して積極的に掛けると言うアオリイカ釣りをする為の竿選びを紹介します。と言っても「専用竿にとらわれない竿選び」をするだけで、バーチカルエギングがもっと楽しくなる方法です。遊漁船でのすでにやられている方もおられますが、「なぜ専用竿じゃないのか」を説明しながら書き進めていきます。


アオリイカの竿

 現在市販されているバーチカルエギングの専用竿は1.2m前後のショートロッド、または3m前後の軽量で張りのあるロングロッドが主流です。この専用竿には各々よい所もあり使いやすい場合もあるのですが、釣行当日の条件下では必ずしもマッチしない事もあります。
 例えば風が強い日のロングロッドは竿全体に風が乗って振られてしまい、穂先の微妙な変化など取れません。またショートロッドは竿の弾力(曲がり)を利用したシャクリが出来ない為、腕を大きく振ってシャクるので長時間釣行だと疲れます。またイカが乗ったのが解らず、大きくシャクった時に身切れを起こしやすいなど、慣れるのに少々時間がかかったりします。

 しかしそれらのデメリットを解消してくれるのが「軽量カーボンのワンピースライトゲームロッド」です。ただしライトゲームロッドなら何でも良い訳ではなく、ティップランの専用竿と同様、穂先でアタリを視認出来る竿選びを紹介していきます。

 具体的に、長さ180cm前後・錘負荷MAX60号程度・穂先の感度が抜群に良いもの・6:4調子の竿が最適と考えています。穂先の感度が抜群に良いものとは、バーチカルエギングではシャクリ後、中錘が最初に沈下し、その後餌木が沈下しますが、その餌木の沈下しきった瞬間に竿先が若干お辞儀する様な穂先の竿をさしています。
 穂先の感度に拘る理由は、魚で言う「アタリ・モタレ」、イカで言う「アタリ・サワリ」を極力視認したいからです。

 個人的嗜好で竿の実名をあげますが、
ダイワ:リーディングXA64V、Aートリガーライトゲーム、シマノ:ライトゲーム64Vなどです。
 最近はライトタックルのコマセ釣りが普及している事もあり、この手の竿の選択肢はまだまだ沢山あるかと思います。欲を言うと、糸絡みのし辛いガイドの竿を選択したい所です。糸が竿先に絡んだままシャクリを入れてしまうと、破損(折れる)する場合もありますので、ご注意を!


アオリイカのリール

 バーチカルエギングではPEラインは2〜3号で必ず1mごとにマーカーがついてるものを使用します。また冬場は深場(水深50〜60m位)を攻める事があるので、巻き取りを考慮すると、ハイギアの手巻き両軸リールが良いですね。私は新発売となったダイワのイッツICV150WRというカウンター付きの両軸リールを使っていますがカウンターの数字は目安で基本はラインの色で棚を正確に直撃する様、心掛けています。

 またこの釣りでは棚取りがかなり重要です。
遊漁船での棚指示は根掛かりを防止するためもあり、上から棚(水面から中錘の水深)を取る指示がでる場合が多い様です。遊漁船での船長の指示棚の基本は、餌木が海底より2m浮かせた水深に漂う様、中錘の位置する水深をアナウンスしてくれます。
 例えば4mのハリスを使用している場合で海底まで(水深)が26mの時は、餌木が24mを漂う様に、中錘は水面から20mとなります。よって船長からのアナウンスは「20m」となります。コマセ釣りで言う「ハリス分+2m」と同じ事ですね。
 あるいは中錘を海底まで一度落とし、6m巻き取る方法もありますが、起伏の激しい根周りを釣っている際は根掛かりしやすいので、遊漁船ではあまりやらない方がよいと思います。
 また餌木を投入してから指示棚が頻繁に変わる事があります。これは起伏の激しい根周りで釣りをしている証拠なので、指示に合わせ、素早く対応する事が、根掛かりを招かない最良策です。

 マイボートでは、魚探の水深と自分の中錘の位置がリンクするよう心掛けて釣りをする事が大切です。魚探がない場合は、中錘を底まで落とし6m巻き取る方法で、根掛かりを恐れず、釣りをしましょう(笑)


アオリイカの仕掛け

 仕掛けと言っても餌木が全てですが注意点を少し。バーチカルエギング(中錘使用の釣り方)では極力サルカン(よりもどし)は使用しない方が良いです。道糸と中錘の接続もチチワに通し直結!中錘とリーダーもチチワに通し直結が良いです。(ここだけスナップサルカンも可)。そして、リーダー(ハリス)と餌木の接続部ですが、ルアー用で、スナップだけの小さめの物を使いましょう。リーダーは、きっちり4mを測って作るのが根掛かり防止の意味でも大切です。

先日の私のタックル

竿はダイワのAトリガーライトゲーム

リールはダイワのイッツICV150WR

PEラインはYGKよつあみ 2号 200m

中オモリ 10号

ハリスは5号 4m

餌木は3.5号

   

アオリイカの餌木選び

 日中のアオリイカ釣りは何と言っても餌木の色選びが重要です。遊漁船のベテランの方などは50〜100本もの餌木を船に持ち込む方もおられるようです。
 しかしマイボートの釣りでは、ライバルがいない分、餌木の種類(色)もそこまでは必要ないでしょう。

 私の場合、餌木は背中の色ばかりを気にして購入していましたが、アオリイカは餌木を下から見ている事も多く、腹側の色や模様もかなり重要との事です。
 餌木はシンカー(餌木についている錘)の部分を支点に、シャクると一瞬テコの原理でカンナ(針の部分)が下がります。こう言う時に下から様子を見に来たアオリイカの背中側にカンナが刺さる事も多い様です。ファーストコンタクト(最初に餌木を触る瞬間)が触腕とは限らないと言う事でしょうか?、なので空アワセ(シャクリ)も必要ですが、ちょっとした竿先に出る異変も見逃さないでアワセを入れる事も重要と言う事です。ですから「竿選び」も重要なんですね。

 あくまでも一例ですが餌木のローテーションは、潮の色・天候(空の明るさ)等を見て、濁っていればピンク→ムラサキ→緑、澄んでいればオレンジ→茶→オリーブ→青と変えていきます。

 これは背の色ですので、腹の色もマーブル→金→赤→クリアー系と変えていきます。また、背中の色とのコンビネーションも重要なので、そこが餌木選びの面白い所であり、悩みの種でもあります。

 餌木もたくさん買いすぎるとどれを使ったらいいのか迷う通称「餌木地獄」にはまってしまいます(笑)。秋の数釣りシーズンであれば、基本の10本を持っていれば乗合船でもなんとか釣りになりそうです。

アオリイカ餌木の選び方
【餌木の基本10色】

@背:ピンク+腹:マーブル
A背:ピンク+腹:金か銀
B背:ピンク+腹:赤かピンク
C背:オレンジ+腹:マーブル
D背:オレンジ+腹:金か銀
E背:オレンジ+腹:赤かピンク
F背:オリーブ+腹:金か銀
G背:オリーブ+腹:クリアー
H背:ムラサキ+腹:クリアー
I背:茶+腹:金か銀

 マイボートの場合は、背:ピンク・オレンジ・オリーブを基本に、各色、腹の色違いを2本づつ、計6本で何とかなりますが、先日の仕立ではムラサキにだけ乗るという状態もありました。低水温期の乗り渋りに対応するには、やはり色の種類を豊富に持っている方がよさそうですね。


アオリイカ釣りのその他のテクニック

 アオリイカはカンパチに似た習性がある様で、遊漁船の場合、同乗者の一人が掛けると、その近くの人にもチャンスが訪れ乗る事が多々あるそうです。チェイスと言われる現象ですね。その事から船中のどなたかが乗せた時は、気を抜かず、シャクリの間(ステイ姿勢)を長めに取り、アタリを見逃さない様集中する事が大切です。

 遊漁船での釣り座ですが、タイやワラサのコマセ釣りでの食い渋り時ほどシビアではありませんが、潮先が有利だったりする事もあります。釣行当日、海に出てみないと潮流や風がどちらに向いているのか解りませんし、ポイントによっても変わる場合もありますので、一概にどこが良いかは解りません。
 それより誰よりも早く当たり餌木(色)を見つけ、ファーストコンタクトを感じ、カンナに掛けるテクニックを身につける事が釣果に繋がると言う事なのでしょうね。

 イカは直接氷に触れない様にビニール袋に入れてからクーラーに入れた方が良いです。
さらにスミイカ程ではありませんが、かなりスミを吐くので、防寒着の上にレインウェアを着ても良いかもしれません。

 
 以上釣り仲間の青さんからいろいろと教えて頂きました。個人的な釣り方と謙遜されていましたが本当に素晴らしいですし勉強になります。

 ちなみに釣りキチ集合!の仕立船に常連?となって参加するようになると釣りキチ集合!仕立てメンバー専用特別ページ
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 釣れない私がここまで整理するのは大変でした(笑)。釣り仲間の青さんに感謝!m(_ _)m



※注意
 釣りキチ集合!に掲載する釣り方はあくまでもトオル個人の釣り方で一般的ではないものも紹介しています。
オートパイロットが装備されたミニボートで三浦半島城ヶ島限定の釣り方もあります。
遊漁船ではやってはいけない釣り方、エリアによっては禁止されている釣り方もあると思いますので、必ず釣りをする地域の条例や船宿のルールに従って釣りをするようにお願いします。
また内容は私が釣り仲間の青さんから教わったことをベースに私自身の経験を忘れないように掲載しています。
みなさんもどうぞ参考にしてみて下さい。釣れなくても苦情は受け付けませんのであしからず(笑)!m(_ _)m